不動産DXとは?現役コンサルが業界の課題や推進方法をまるっと解説!

不動産業界は、慣習的にも、店舗型や人との接触が必要な業務が多く、銀行、小売、医療などの他の業界に比べて、デジタル化の導入が遅れています。

しかし、バーチャルツアー、自動化された取引、パーソナライズされたサービスなど、デジタル技術が住宅購入体験を向上させると同時に、不動産業者の業務効率を向上させる数多くのアプリケーションがあります。

この記事では、不動産業界の抱える課題からDXの必要性やテクノロジーなどを余すことなく現役のコンサルタントが解説しています。

あなたの会社のDXが少しでも進むために書いていますので、ぜひご一読ください。

DXとは何か

デジタルトランスフォーメーションとは、市場や変化するビジネス要件に対応するために、デジタル技術をビジネスのあらゆる側面に統合・反映する継続的な業務改善になります。

それは、業務上のオペレーションと顧客との関係性をよりよくすることを目的としています。これらの目標を達成するために、組織はシステム、プロセス、組織体制、企業文化をアップデートする必要があります。

不動産業が抱える課題

財務省の法人企業統計調査の結果によると、平成29年における不動産業界の市場規模は約43兆円です。これは、1位の自動車業界や2位の建築業界、3位の医療業界についで4番目に大きな市場規模となります。

コロナ以前は、東京オリンピックの特需もあり、堅調に業界全体が伸びていたものの、コロナ後によって、テナント企業の撤退や不景気の長期化による新築マンション販売戸数の減少などの影響が出て来ています。

現在の不動産業界の課題は、以下の点があげられます。

人口減少

2030年には、日本の総人口が1億1900万人になると予測されており、少子高齢化の影響もあって、不動産購入者が、自然現象していくことがあげられます。

人口減少にともなってもうひとつの課題が、人口の二極化です。都市部に人口が集中することにより、家を買わない世帯が増加し、地方では空き家が増えるという減少が起きています。

不動産業界にとっては、このような背景により、新築を購入する人が都市部でも地方でも減っていくという悪循環が起こっています。

人材不足

不動産業界でも人材不足が問題となっています。その大きな要因が、長時間労働になります。

月に30時間以上の残業をする人の割合は31.8%となっており、残業の多い業種の4位にランクイン(2018年:株式会社パーソル総合研究所調べ)しています。長時間労働が当たり前となっている環境のため、離職率も高く、人材が留まらないというのも、人材不足の要因となっています。

IT化の遅れ

国土交通省の資料によると、不動産業において、従業者10名未満の事業所数は全体の9割以上を占めます。

業界全体のほとんどが、「街の不動産屋さん」といえます。そのため、ほとんどの業務を人的に行っています。

契約書の作成や書類の管理などをシステム化していけば良いのですが、少人数のため、そのための時間も取れずに、なかなか人依存の環境から脱却できず長時間労働が常態化してしまっているのが現状です。

近年では、不動産テックやリアルエステートテックという言葉も出てきていますが、不動産業界における働き方改革の一環として、様々な業務に対して、不動産×テクノロジーで解決しようという取り組みが行われています。

なぜ不動産でデジタルトランスフォーメーションが重要なのか?

競争が激化する中で競争力を維持するために、不動産会社は選択肢を模索し、運用パフォーマンスを向上させ、ポートフォリオを最適化して最大の投資効果を得る必要があります。

2019年のアメリカの調査会社・ KPMG Proptech調査によると、アメリカでは、不動産会社はデジタル技術の導入を進めています。回答者の58%がデジタル戦略を実施しており、2018年と2017年の52%から増加しています。不動産ビジネスにデジタルトランスフォーメーションが必要な理由は、以下の通りです。

お客様の行動と期待の変化

人々が不動産を探す方法は変化しています。不動産仲介業者に依頼するよりも、モバイルやウェブでの検索を好むようになっています。また、お客様が仲介業者とのコンタクトをオンラインで取ることも増えています。したがって、オンラインでの存在感がないということは、関心のある買い手や売り手とつながる機会を失うことを意味します。

テクノロジーの変化

経理作業や契約書作成といったエクセルや古いシステムで作業しているような物件情報管理などの入力を自動化などのデジタル技術を導入することで、企業は業務効率を向上させることができます。

不動産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの主要なトレンド/テクノロジーは何ですか?

拡張現実(AR)/仮想現実(VR)について

AR技術を使えば、バーチャルツアーで物件のイメージを確認することができます。例えば、シンガポールに拠点を置く不動産検索プラットフォームPropertyGuruは、初のモバイルショールームを立ち上げ、VRゴーグルを提供してマンションのショーフラットを見てもらうことで、顧客のエンゲージメントを向上させることに成功しました。

ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)

BIM (Building Information Modeling)とは、インテリジェントな3Dモデルベースのプロセスで、建築・エンジニアリング・建設(AEC)の専門家に、建物やインフラの計画、設計、建設、管理をより効率的に行うための知見やツールを提供するものです。

ドローン

不動産業者、ブローカー、商業不動産業者は、ドローンを使って物件の空撮を行うことができます。ドローンは不動産で以下のように使用できます。

  • 物件の隅々まで点検し、屋根や天井など手の届かない場所も検査する。
  • 商業施設のテナントが賃貸する前に建物を確認するための地図作成
  • 建築物の検査

スマートコントラクト

スマートコントラクトは、契約の条件をコンピュータコードとして記録する ブロックチェーン アプリケーションです。すべての条件が満たされると、契約が有効になり、資産交換が行われます。不動産業界にとって、スマートコントラクトは、銀行の確認や中間業者が不要になることを意味します。

不動産業界では大規模な取引が行われるため、スマートコントラクトは取引のスピードを高め、不正から守り、コストを削減する有利な技術です。

物件検索を容易にするアプリ

デジタルトランスフォーメーションの鍵となるのは、顧客のいる場所にいることです。

モバイルアプリケーションへの関心が高まっていることから、不動産事業者は新しい顧客にアプローチするためにモバイルアプリの開発を検討すべきです。モバイルアプリのプラットフォームを利用することで、購入者と不動産所有者は、物件に関する必要なすべての情報にアクセスすることができます。

IoT

モノのインターネット(IoT)とは、私たちの身近なモノに埋め込まれた、相互に関連するコンピューティングデバイスをインターネット上で利用する技術です。

予測可能なメンテナンス、エネルギー効率、便利なライフスタイルなどは、不動産部門がIoTから得られるメリットの一部です。センサーを内蔵したスマートホーム機器も、IoTの応用として、不動産の価値を高めます。

自動化

RPA技術を使えば、デジタルマーケティング、請求書処理、顧客サービス、不動産検査など、手動で行っていた作業を自動化することができます。

ビッグデータ/アナリティクス

不動産は、物件、オーナー、企業、借り手、代理店などに関する膨大なデータを収集する産業です。

データ分析ソリューションは、不動産事業者が顧客セグメントを理解し、顧客の行動を予測するのに役立ちます。 CRMツール は、潜在的な顧客への働きかけや、市場の状況、不動産の購入、投資の観点や価格に関する予測を行うために顧客のデータを収集するために、不動産ビジネスで広く利用されています。

不動産業のDX活用事例

スマホで完結する仲介業務

一般的な引っ越しのときのお客様の動向として、不動産屋さんを何件も周り、物件情報を得て、内見をし候補を見比べて引っ越しを決定する流れになります。せっかく決めた物件でもタッチの差でうまってしまうこともよくあることです。

お客様にとっても、不動産会社にとっても時間を費やしたのに無駄になることになります。これらをスマホ1台でほぼ完結してしまおうというサービスが始まっています。内見以外は、非接触で行えるので、これから伸びてくる形態になってきます。

内見業務のDX

人との積極を避ける意味でも、Web内見やライブ内見業務を導入することは、トレンドとなりつつあります。Web内見では、3D映像や3D画像を駆使して好きなときに部屋の中を閲覧できる機能ですでに始まっていますが、更に進化して、VR映像と組み合わせることにより、部屋の中に入り込んで内見をする取り組みも始まっています。

また、ライブ内見の場合は、担当者が実際の部屋にいき、お客様と映像をつないで、見てほしいポイントや質問にその場で答えていくことになります。部屋だけではなく、山や別荘など遠隔地でお客様が来場できない場合でも対応が可能となります。

AIによる不動産価格の査定

不動産や土地の売却を仲介することは、普段産業者にとっても大きな利益を生むビジネスになります。不動産投資でもしていない限りは、お客様にとっても一生に一度あるかないかの不動産売却になりますから、できるだけ適正値で売却してくれるところを探すことになります。

これまで不動産売却は、専門家に依頼して売却価格を決めることが多かったですが、これらのデータを集めAIで不動産価格を査定するサービスが登場しています。売却したい方も選択肢を選んだだけで、売却価格がわかり、最短2日で売却まで実行するAI診断サービスがあります。

顧客管理のクラウド化

電話で問い合わせが合った際に担当者が外に出ていて、折返しになるということも往々にしてあると思います。電話履歴や顧客情報を管理できるクラウドサービスも出てきています。クラウドサービスなので、ネットにさえ繋がっていれば、導入もしやすく顧客対応もすぐに履歴と残るので他社に流れる心配も少なくなります。

自社で実現するためのステップを徹底解説

不動産業のDXは、様々な課題がありますが、それを乗り越え推進していくにはどのような取り組み手順が必要でしょうか。

推進手順を以下の通り解説していきます。

長期的なDXのビジョンを固める

不動産業においては、テクノロジーの導入は、業務を一新する可能性があります。最初に実施するのは、今後自社がどのような変化をしていくかというビジョンを明確にすることです。

TOYOTAが、自動車会社からモビリティカンパニーに変革したように、あなたの会社は、◯◯を製造している会社からどう変化していくかをビジョンとして固める必要があります。

フィクションですが、下町ロケットに出てくる佃製作所は、部品製造会社からロケットの部品を作る最高品質の不動産業というビジョンを実現させて、大きな飛躍を遂げました。DXを推進した先の未来を描くことが、第一歩になります。

現状の自社の課題を知る

ビジョンを固めた上で、現状の自社の課題もまとめる必要があります。

自社の課題を知り、それを改善することも忘れてはいけません。自社でどんな課題を持っているのかを見聞きし、現場での改善の種を知ることが次のステップになります。

ギャップを知る

ビジョンを明確にし、現場での課題を知ることで、そのギャップを知ることができます。

数年後のビジョンをゴールとして、今の現状をスタートと考えた場合に、どこから改善していくことが、ビジョンを達成する優先順位を決めることができます。

実現に向けたロードマップを描く

ビジョン達成までの優先順位がある程度かまったら、次は中期計画を描く工程になります。

予算や時期、また投資対効果を見据えて、中期計画もフェーズごとに分けて、フェーズ1ではここから取り組む。次のフェーズではと言った計画を描く必要があります。人材育成も計画に盛り込み、よりビジョン達成までの具体的な計画とする必要があります。

構築に向けた準備

計画化のあとは、実際に現場責任者も巻き込んだ、フェーズ1のスタートになります。

小さな改善を繰り返す必要があるので、まずは現場の声を元にDXを進めることがいいでしょう。業務フローの改善やどのテクノロジーを採用するかなど、場合によっては、外部コンサルタントや開発ベンダーも交えて進めていくことでより確実性が高まります。

まとめ

不動産業界のDXは、他と比べても決して進んでいるとは言いづらい状況です。

その分、様々な技術革新とともに業務改善の余地があると言えます。個人的には、まずは、自社内のバックオフィスや物件管理などの状況をデジタル化するだけでも、従業員の働く環境が整えられて、DXに向けた下地を作ることができると考えています。

まずは、DXの第一歩として計画を作り、課題を洗い出すところから進めてみてはいかがでしょうか。

あなたのビジネスのためのデジタルトランスフォーメーションの支援を必要としているなら、私たちがお手伝いしますので、ご連絡ください。

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