小売業DXとは?現役コンサルが百貨店からスーパーまでDX推進方法を紹介

私は、長く大手百貨店のコンサルティングを経験してきて、小売業のDX推進は、待ったなしの状況に来ていると感じています。

この記事では、

  • 小売業がなぜDXすべきか
  • 小売業における重要なテクノロジーは何か
  • 活用事例は?

といったことを、余すことなく解説しています。

特に、小売業におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みは、顧客満足度、企業の敏捷性、在庫管理が重要な要素となっています。また、小売企業にとって、アナリティクス、 オムニチャネル 、RPAなどの新しいテクノロジーを導入し、効率と効果を高めることが、生き残るための絶対条件になっています。

小売業のコンサルティングを4年以上に渡って経験している私が、小売業の中で、DX推進を担当しているあなたにとって、次の一歩を考えるための記事を書きましたので、ぜひご一読ください。

DXとは何か

デジタルトランスフォーメーションとは、市場や変化するビジネス要件に対応するために、デジタル技術をビジネスのあらゆる側面に統合・反映する継続的な業務改善になります。

それは、業務上のオペレーションと顧客との関係性をよりよくすることを目的としています。

これらの目標を達成するために、組織はシステム、プロセス、組織体制、企業文化をアップデートする必要があります。

小売業界のデジタルトランスフォーメーションは、3つの重要な側面に焦点を当てています。

カスタマー・エクスペリエンス

どんな小売業者も、悪い顧客体験を提供したくはありません。 PwC の調査によると、32%のお客様が、一度でも悪い体験をすると、大好きなブランドとの交流をやめてしまうそうです。

企業の俊敏性

企業の俊敏性とは、迅速な意思決定、新しいシステム、リソースの割り当てだけではなく、リアルタイムのデジタルデータへのアクセスや、デジタル資産を利用したワークフローを可能にすることです。

サプライチェーンの改善

デジタルサプライチェーン は、提供プロセスの広範な業務を可視化し、その結果、小売店舗の運営管理が、楽になり、利益や在庫管理が向上します。

小売業における業務課題

コロナ禍で最も影響を受けたと言っても良い小売業界の課題を見ていきます。一口で小売業界と言っても、一般的に贅沢品を扱う百貨店業界、24時間営業のコンビニと日用品を扱うスーパーでは、それぞれ明暗がくっきり分かれました。

百貨店の課題

百貨店を見ていきましょう。東京商工リサーチの発表によると、全国の主要百貨店70社の2020年度(2020年4月期-2021年3月期)の売上高は、合計4兆996億円(前期比27.0%減)で、前期より1兆5,189億円減少し、5期連続の減収となりました。
百貨店業界自体が、小売業の花形のイメージは残るものの、コロナの影響以前から地方を中心に百貨店の廃業や統合が進み順風な業界ではありませんでした。その根本的な要因としてあげられるのが、「Eコマースの成長により店舗型ビジネスへの客足減少」「既存顧客の高齢化による顧客の減少」「インバウンド需要の衰退」などの消費者の行動様式の変容になります。私も百貨店のコンサルティングの仕事を長年やってきた中で、こうした変化を多く感じてきました。
その他にも、「大型店舗の老朽化によるメンテナンス費用の増大」「地方での中心地の変化による人流の変化」なども百貨店ビジネスにとってマイナス要因となっています。百貨店ビジネスの課題は、自身の強みをどこに置くかという点で、顧客に対しては「リッチ化」「パーソナル化」という変化が求められます。

コンビニ業界の課題

コンビニも2020年の業績を見ると、大きく落ち込んでいます。大きな原因は、外出自粛による繁華街への人流減少や、テレワーク導入によるオフィス街への人流減少により、これらの場所に出店する店舗の収益が大幅に下落したことがあげられます。
テレワークにより自宅時間が長くなり、「買い物をするなら、定価のコンビニよりも、近所にあるスーパーへ行く」という自宅近辺での行動様式も、影響があったと考えれます。コロナの影響もそうですが、コンビニ業界では、「慢性的に人員不足」「24時間営業の世間的な風当たり」「人口減少による市場の飽和」と言った問題をどう解決するかが課題となっています。

スーパーの課題

一方で、同じ小売業界でも、スーパー業界を見てみるとコロナ禍にあって、業績を大きく伸ばしています。スーパーにおいて、特に食品スーパーが大きく業績を伸ばしていて、「内食」ブームにより生鮮食品の購入が要因となっています。ただし、総合スーパーと呼ばれる、衣料品やテナント事業を展開している企業は、減収となっているところも目立ちました。
業績が好調な食品スーパーですが、決して油断できる状況ではありません。アフターコロナに向けてスーパー業界が抱える課題は、「高齢化による一人単価の減少」「消費者向けの個食化」などがあげられます。健康な高齢者、一人暮らし、4人暮らし家族など、購入者の実態に合わせて、商品を陳列して魅力的な店舗をどれだけ展開できるかが鍵になります。

なぜ小売業でデジタルトランスフォーメーションが重要なのか?

小売業界の競争はかつてないほど激化しています。Google、Amazon、Appleのような遍在するブランドのおかげで、顧客はパーソナライズされた製品やユニークなデジタルジャーニーが当たり前になってきました。小売企業は、顧客のシェアを維持するために、巨大企業と同じレベルの体験を提供する必要があります。デジタル化の波に適応できなかったデジタル後進企業に対して、ゼロから成功を収めたデジタル小売業が数多く登場しています。

​​2017年には、2010年から2017年までの主要な小売業の倒産に関するニュースを受けて、アメリカでは、「小売業の黙示録」という言葉が使われ始めました。Abercrombie & Fitch、Blockbusters、GUESS?、Toys “R” Us、JC Penneyなどは、この期間に倒産を発表したり、店舗を閉鎖したりした小売業者の代表例です。顧客の習慣がデジタルショッピングにシフトしたことが、「小売業の黙示録」を引き起こした主な要因の一つと考えられています。そのため、デジタルトランスフォーメーションは、もはや小売企業にとって選択肢の一つではなく、生き残るための必須条件となっています。しかし、デジタル・トランスフォーメーション・プロジェクトの70%は様々な課題により失敗しているため、小売企業は成功するためのデジタル・トランスフォーメーション戦略とフレームワークを持つ必要があります。

小売業界におけるデジタルトランスフォーメーションの主要なトレンド/テクノロジーは何ですか?

オペレーション分野

オートメーション化

プロセスを自動化することで、従業員の労力を減らし、小売業者はオペレーションコスト、プロセスの所要時間、手作業によるミスを減らすことができます。小売業で自動化可能な業務は以下の通りです。

・請求書作成、価格変更、買掛金、売掛金などの活動
・在庫/サプライチェーン管理
・製品のカテゴライズ

キャッシュレスの小売店舗

セルフチェックアウトシステムは、顧客視点に立った店頭小売の最も興味深い分野です。セルフレジは、行列や待ち時間の短縮を可能にし、小売店の人件費を削減します。セルフチェックアウトシステムには、キャッシュレス/カードレスの小売店という新しい潮流があり、顧客も利便性を感じています。

Amazon GoのYoutube

アナリティクス分野

機械学習を活用した リテールアナリティクス

組織や営業活動から生成されるデータ量の増加に伴い、分析を行い、顧客インサイトを明らかにすることが必要になっています。機械学習のような高度な技術は、データ処理のプロセスを高速化します。小売企業は実用的なインサイトを得て、ビジネスパフォーマンスを向上させるとともに、収益を増加させることができます。AIモデルをオペレーションシステムに組み込むことで、物流、価格、レイアウトなどの多様な領域にダイナミックな変化を提案することができます。

プロセスマイニング

プロセスマイニングとは、企業の業務プロセスを深く理解するための分析方法です。小売企業は、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを最大限に生かすために、プロセスマイニングソリューションを活用することができます。例えば、トルコのテクノロジー関連の小売企業であるTeknosa社は、消費者購買履歴データのプロセスマイニングツールを使用して、購買プロセスのモデル化と改善を行い、小売戦略を策定しています。

セールス&マーケティング分野

オムニチャネルの体験

オムニチャネルとは、すべてのチャネルやタッチポイントにおいて、お客様に一元的な体験を提供することです。オムニチャネルは、以下のように顧客維持率を高め、顧客体験を向上させます。

・異なるチャネルで一貫した体験を提供する
・ユーザーが異なるチャネル間で問い合わせを継続できる
・すべてのチャネルからのデータを利用して、顧客に関する統一見解を構築し、マーケティングやカスタマーサービスの取り組みを改善する

ハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、4つ以上のチャネルを利用する買い物客は、1つのチャネルしか利用しない買い物客に比べて9%多く消費します。

対話型AI(チャットボット)

お客様が求めるのは、24時間365日対応可能な、迅速で質の高いカスタマーサービスです。チャットボットは、お客様の質問に答えたいと考えている小売業者にとって、代表的なソリューションになります。
チャットボットが顧客に十分なサービスを提供できない場合は、その顧客を問い合わせセンターに引き継ぐこともできます。小売業におけるチャットボットは、パーソナライズされた迅速なメッセージによって売上を促進し、コストを削減します。

スマートビーコン

ビーコン は、2013年にアップル社のアップルストアで活用され始めました。以来、新たなトレンドとなっています。Global Market Insights社は、ビーコン技術市場が2024年までに250億ドルを超えると予想しています。
ビーコンは、店舗内の物や壁に貼り付ける小型のデバイスです。ビーコンは、Bluetooth信号で顧客の携帯電話に接続し、小売店は顧客の位置を監視することができます。ビーコンが信号を検知すると、顧客の携帯電話にキャンペーンやクーポンなどのメッセージを送信します。
また、 b8ta に代表される実証実験店舗サービスは、カメラを使い顧客やサービスの情報を分析し、企業に提供しています。

小売業にとってDXをすすめる最高の方法とは?

私たちは、小売業界のデジタルトランスフォーメーションに共通する3つの改善方法を着目しています。

より速いデジタル体験を

デジタルでの購入体験をより良くするための継続的な改善をしていかなくてはいけません。
ページの読み込み時間が遅いと、お客様に満足していただけません。ウェブページ、コンテンツ、画像は、パフォーマンスとエクスペリエンスの両面から管理する必要があります。

アジャイル・アプローチ

小売業は、ビジネスを変革するために、新しい技術を迅速に試し、既存の技術にシステムを迅速に移行する必要があります。

クラウドへのシフト
小売業者の多くは、小売への集中度を高めるために、サーバーをクラウドに移行しています。アマゾンはこの面でも多くのことを行っています。クラウドコンピューティングのリーダーであるアマゾンは、他社のクラウドへの取り組みを後押ししています。クラウドによって、小売業者は所有コストを削減しながら柔軟に拡張することができます。サーバーをクラウド化することが、素早くテクノロジーを導入するための第1歩になります。

AIによる変革
小売企業がデジタルトランスフォーメーションに注力する際には、AIの進歩を含む最新の進歩を導入する必要があります。小売業における高度なアナリティクスの使用例やAIトランスフォーメーションを考えていく必要があります。

セキュリティの強化

企業データと顧客データは、小売企業にとって最も価値のある資産です。ハッカーがセキュリティの脆弱性を悪用すれば、顧客は組織への信頼を失ってしまいます。小売企業は、サイバーセキュリティ・ソリューションに投資しなければなりません。

小売業のDX活用事例

三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスでは、「三越伊勢丹リモートショッピング」を2020年11月にローンチ。チャットやビデオ通話機能を通じて店員が店頭の商品を販売する仕組みとなっています。顧客は気に入った商品があれば、アプリからすぐに購入できます。新型コロナウイルスの影響で店舗への来店客が減る中、オンライン接客によって売上を伸ばすための施策を展開しています。

イオン

レジに並ばすに決済ができる「レジゴー」を導入。
レジゴーは、お客自身が店頭に設置された専用のスマートフォンで商品のバーコードをスキャン、専用端末機で会計をする仕組みとなっていて、顧客は、待ち時間を減らし、コロナ禍での不要な接触が避けられると好評となっています。

グループセブ

ティファールなどのブランドを展開するグループセブでは、ARを用いて、クックフォーミーのサイズをスマートフォン上で、生活空間に設置できる仕組みを導入。購入前にサイズがわかることで、内食ブームによって、売上が好調な電子調理家電の売上げアップにARが貢献しています。

自社で実現するためのステップを徹底解説

小売業のDXは、様々な課題がありますが、それを乗り越え推進していくにはどのような取り組み手順が必要でしょうか。推進手順を以下の通り解説していきます。

長期的なDXのビジョンを固める

小売業において最初に実施するのは、今後自社がどのような変化をしていくかというビジョンを明確にすることです。

TOYOTAが、自動車会社からモビリティカンパニーに変革したように、あなたの会社は、◯◯を製造している会社からどう変化していくかをビジョンとして固める必要があります。

フィクションですが、下町ロケットに出てくる佃製作所は、部品製造会社からロケットの部品を作る最高品質の不動産業というビジョンを実現させて、大きな飛躍を遂げました。DXを推進した先の未来を描くことが、第一歩になります。

現状の自社の課題を知る

ビジョンを固めた上で、現状の自社の課題もまとめる必要があります。

自社の課題を知り、それを改善することも忘れてはいけません。自社でどんな課題を持っているのかを見聞きし、現場での改善の種を知ることが次のステップになります。

ギャップを知る

ビジョンを明確にし、現場での課題を知ることで、そのギャップを知ることができます。

数年後のビジョンをゴールとして、今の現状をスタートと考えた場合に、どこから改善していくことが、ビジョンを達成する優先順位を決めることができます。

実現に向けたDXロードマップを描く

ビジョン達成までの優先順位がある程度かまったら、次はDXロードマップを描く工程になります。

予算や時期、また投資対効果を見据えて、中期計画もフェーズごとに分けて、フェーズ1ではここから取り組む。次のフェーズではと言った計画を描く必要があります。

人材育成も計画に盛り込み、よりビジョン達成までの具体的な計画とする必要があります。

構築に向けた準備

計画化のあとは、実際に現場責任者も巻き込んだ、フェーズ1のスタートになります。

小さな改善を繰り返す必要があるので、まずは現場の声を元にDXを進めることがいいでしょう。業務フローの改善やどのテクノロジーを採用するかなど、場合によっては、外部コンサルタントや開発ベンダーも交えて進めていくことでより確実性が高まります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

小売業は、オフラインでの接客がメイン業務のため、なかなかデジタル化まで踏み切れない業界でしたが、今では、キャッシュレス、オペレーション、データ分析などのほとんどすべての業務で、DXが進んでいます。顧客のデジタル購入が当たり前になっている今だからこそ、DXへと舵を切ってみることは重要な決断になります。

デジタルトランスフォーメーション計画にコンサルティングが必要な場合のe-ガイドを用意しました。文末からダウンロードしてみてください。

あなたのビジネスのためのデジタルトランスフォーメーションの支援を必要としているなら、私たちがお手伝いしますので、ご連絡ください。

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